緑の情報アラカルト
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木育講演会 「木材には人と人を結び付け合う機能がある」

東京・新宿の都民ホールで9月23日に開かれた「都市の暮らしと森をつなぐ木育講演会」へ出かけました。「木育」に取り組んでいる認定NPO法人芸術と遊び創造協会/東京おもちゃ美術館による催しでした。

 

講師はコミュニティデザインに携わるstudio-L代表の山﨑亮さんでした。お話は、ホールの内壁が木ではなく石なのはなぜか?という問題提起から始まりました。石は火災で燃えないし、日常の手入れも楽なので、高度成長期以降に国内で広まったのはお分かりですね。でも、その結果として、そこに人の関わりが失われていったと捉えることもできます。一方、木材なら維持管理に手間がかかるので、おのずと地域の人たちがそこに関わる必要が生じます。木材には、人が協力したり繋がり合ったりするように仕向ける機能があるのです。木材の利用が減ったことで、おのずとそうした機能も失われていったわけです。

 

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●ヒノキボールのプール。初めて会った子どもたちが一緒に遊ぶ姿も、木材が人をつなげる機能の表れかもしれません

木材の機能と言えば、私たちは、湿度を調節する、温度変化を抑える、煤塵を吸着する、気分をリラックスさせる、といった科学的に裏付けられた機能を思い浮かべがちです。でも、木材には人と人を結び付け合う機能がある、木育とはそれを取り戻すことだと教えられ、目から鱗が落ちた気分になりました。

 

もちろん木材を取り扱うには手間暇がかかりますが、そうして作られた物を生活の中に置くことを主張したデザイナーに、英国のウィリアム・モリス(1834 – 96年)がいます。お話は、その思想がどのような影響をデザイン界に与えていったのかにも及びました。これから人工知能(AI)やロボットが生活を凌駕する時代になるのは間違いないようですが、その中で木材や林業、そして木育を考えることは、人のつながり、暮らしの在り方をどのように構築していくかにも関わってきます。「今日は子どもたちとの面白い遊び方の話でも聞けるのかな」という予想とは全く違うお話でしたが、多くの参加者が山崎さんの訴えにうなづいているようでした

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