ブックガイド

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●新編 裏山の博物誌

三宅修 著  山と溪谷社 本体1300 円+税

季節と共に変わる“裏山”の姿

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旧編が出たのはもう30年近く前だという。舞台は神奈川県の旧藤野町。首都圏の“ 裏山” に移り住んだ写真家が、季節と共に変わる自然の姿を綴つづっていく。博物誌とはいうものの、決して博物館のように動植物を解説した本ではない。霜凪(しもなぎ)、風花(かざはな)、春愁、白昼夢、樹雨(きさめ)……。四季のうつろいの中で微妙に変化する風景や心象にも目は向けられている。そして巧みな文章からは、山に漂う空気感自体が伝わってくるようで心地よい。

とはいえ、首都圏のはずれにある裏山はしばしば、ごみの不法投棄や産業廃棄物最終処分場建設などの問題を抱えさせられてしまう。加筆や写真の入れ替えをして新編を出した今は、リニア中央新幹線建設に伴う残土捨て場にならないかが気がかりだそうだ。この本の主題は、「緑と水と生命を護まもる」という著者の思いであるに違いない。

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