ブックガイド
●宮沢賢治の鳥
国松俊英 文 舘野鴻 画 岩崎書店 本体1700円+税
自然を愛した宮沢賢治は、その童話や詩の中にたくさんの鳥を登場させている。フクロウやカワセミ、ヨタカやカッコウ、トキにハクチョウなど、その種類は70種以上にのぼるそうだ。農業実習や地質調査、植物採集、それに登山や散歩など、野外にいる時はいつも鳥たちが身近にいたからであろう。空を自由に飛び、美しい羽を装い、きれいな声を響かせる鳥たち。この絵本の中で作者たちは、鳥の細密画と共に賢治の文章を紹介し、「賢治は多くの童話や詩に鳥たちを描き、自分の願い、あこがれ、祈りを託したのだ」と読者に訴えかけている。
賢治が取り上げた鳥は基本的に国内産の種類なのだが、外国産の鳥もわずかに登場する。それはハチドリの仲間だ。どのようにして賢治はハチドリたちに出会ったのだろうか。この絵本の中では、その謎解きにもふれており、大人が読んでも興味深い。