ブックガイド

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●生態学が語る東日本大震災─自然界に何が起きたのか─

日本生態学会東北地区会 編  文一総合出版 本体2200 円+税

大津波と言えども、自然界にとっては繰り返される攪乱の一つにすぎない。ただ、巨大な人工構造物が壊れて瓦が 礫れきになることは、これまでなかった。攪乱後の回復過程に、復旧工事というダメージを受けるのも初めてだろう。そこに放射能汚染までが加わった。そうした状況下で干潟や砂浜、さらには里地の自然が東日本大震災後にどう姿を変えているのか。生態学者らによる調査の状況がまとめられている。

変化を捉えるには震災前の記録が必要だが、それはごく限られている。震災後のデータも5年ほどの蓄積しかなく、生態系を語るにはまだ十分ではない。それでも、こうした調査は、自然の回復力を社会づくりにどう生かすかを検討する上で欠かせない。地道に調べられた事例は、自然との接し方について多くのことを考えさせてくれる。

(「グリーン・パワー」2017年1月号より)

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