ブックガイド

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●ムーン・ベアも月を見ている 現代クマ学最前線

山﨑晃司 著  フライの雑誌  本体1700円+税

クマを愛する「クマの人たち」gp2-%e3%83%a0%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%83%bb%e3%83%99%e3%82%a2

クマは特別な野生動物だ。神や精霊として崇拝してきた人々が世界中にいる。クマには表情があり、立ち姿や食べ物が人間と似ている。恐れとともに、愛らしさを感じさせる対象であるクマに関わる研究者は「クマの人たち」という意味深な呼ばれ方をする。クマを愛し「義理人情に厚く、生産に目をつぶって困難に楽しく挑戦できる人たち」だからだ。

日本に生息するクマは、北海道のヒグマと、本州・四国のツキノワグマ(ムーン・ベア)の2種類。近年、生息地が拡大して都市部にも出現、住民との軋轢(あつれき)が目立つ。一方、絶滅に瀕した希少動物でもあり、九州のツキノワグマはすでに絶滅、四国も風前の灯だ。

著者はこれらクマ学の最前線や具体的なエピソードを盛り込んで、「人間はクマとどう向き合い、共存していくべきか」を説く。もっとも、最大の狙いは、猟師や世界中の研究者ら、身を削ってクマを追いかけた「クマの人たち」の生きざまを記録することなのだろう。

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