ブックガイド

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●トチノキ巨木の森を守る

水田有夏志 著  工房 森のしずく 本体1200 円+税

離村で切れたつながり、取り戻す

EPSON MFP image各地の山村には、食べ物や薬、衣類、容器、建物に至るまで、森がもたらす恵みを生かした暮らしがあった。人々はそのために技を培い、それを子や孫へと伝えてきた。しかし、社会の変化によって人々が山を離れると、森とのつながりも断ち切られてきた。

滋賀県北部を流れる高時川源流域にあった六つの集落も、1969年から95年までの間に集団離村により、人影が消えていった。トチノキの巨木が立ち並ぶ森も活用されず、伐採の計画さえ浮かび上がってきた。果たして売るべきか、残して活用すべきか。議論の末に、かつての住民たちは後者の道を選んだ。そして定期的に集落跡へ通い、森の保全と山の暮らしの継承に意義や喜びを見つけるようになった。筆者は県職員として巨木の森の保全事業を担当する中で人々の活動を記録にとどめ、貴重な山村の文化誌が生まれた。

 

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