ブックガイド

ブックガイド

●シカ問題を考える

高槻成紀著 山と溪谷社(ヤマケイ新書) 本体800円+税

122

シカ問題が深刻だ。先日、ある山へ登った時、冬場にシカに食いちぎられた跡を残す草や笹をたくさん見た。同行者は「春の花を期待して来たのに、何にも見つからないね」とこぼしていた。
農林業被害が一番騒がれるが、それだけにとどまらない。食べられて植物が減り、その植物に依存していた動物が少なくなるといった形での生物多様性の低下が、全国各地で起こっている。幼齢木が食べられてしまうと森は若返らないし、林床の植物がなくなると土壌がむき出しになって流出してしまう。……
本書はシカ問題の実態に加えて、そもそもシカはどういう動物なのか、なぜシカが増えてしまったのか、そして解決のためにはどんな取り組みがあるのか、を解説している。シカ問題に対しては、国民みんなで対策に取り組んでいかないと、バランスを崩したこの国の自然は、やがて人間の暮らしまでを脅かすだろう。

PAGE TOP