ブックガイド

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●木の国の物語――日本人は木造り文化をどう伝えてきたか

中嶋尚志 著   里文出版 本体1600円+税

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歴史を踏まえて問いかける木材活用

飛鳥時代に日本最初の文明開化があった、と著者は説く。それは渡来系の木工がもたらした建築技術の広がりだった。掘っ立て柱による従来のやり方が、礎石を置いて柱を立てる新しい方式に替わった。植物質だった屋根葺(ぶ)き材料に瓦が加わった。建築材としてヒノキの価値が見いだされ、寺院の建築ラッシュが訪れる。飛鳥京には、24もの仏教寺院が存在していたのだという。

建築技術は工人や職人たちによって伝え育まれ、やがて日本独自の寝殿造りや書院造りにつながっていく。もちろん、日本の木造り文化の原風景は巨木を用いた縄文時代にまでさかのぼることができる。だが、森に覆われた国土で木材を活用してきた日本人の暮らしは、今まさに消滅しかかっていないだろうか。著者はそんな思いを胸に、歴史を踏まえた「木の国」のあり方を改めて問いかけている。

 

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