ブックガイド

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●森の日本文明史

安田喜憲 著  古今書院  本体5500 円+税

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日本文化を生んだ豊かな森

 

「日本文化は森の文化である」と著者は言う。稲作が日本文化の基調であるというイメージの強かった頃、これを唱えるのは勇気が必要だったが、確信はあった。森がもたらす豊かな水と、森の旺盛な再生力があればこそ、稲作社会が成り立ったからである。

 

日本の森は変化に富む。著者は専門とする古環境復元の研究成果を基に、森の歴史をさかのぼる。そして日本人に馴染みの深いスギやブナ、ナラ、アカマツなどの森林と、日本文化との関わりを詳述していく。スギの利用が活発化したのは、意外にも日本海側だった。ブナ林の拡大は土器の誕生と密接に関係したし、どんぐりや栗を得られるナラ林は縄文人の食生活を支えた。

 

こうした森を育んだ存在として、見逃せないのは列島を囲む海だ。そして著者の思考は、海を越えて世界にも広がり、日本の森を俯瞰している。

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